切削加工において、切りくずの形状は加工品質を示す重要な指標です。切りくずは単なる廃棄物ではなく、加工状態を反映する「情報の宝庫」と言えます。
切りくずの形状は主に以下の4種類に分類されます:
切りくずの色からも加工状態を判断できます。切削熱が高いと暖色系(赤や茶色)になり、適切な温度では青や紫などの寒色系になります。理想的な切りくずの長さは数ミリ〜数センチ程度、巻き数は1〜5巻き程度とされています。
切りくずの状態が悪いと、工具やワークへの巻きつきが発生し、製品の傷や加工不良、さらには工具の破損につながる恐れがあります。特に自動化された加工ラインでは、切りくず処理の問題がチョコ停(短時間の機械停止)の主要因となることも少なくありません。
揺動切削は、切りくず処理の効果的な手法として注目されています。この技術は、ワークの回転に同期させて送り軸方向にバイトを微小に揺動させることで、切りくずを細断する加工法です。
揺動切削の主なメリットは以下の通りです:
実際の加工事例では、通常切削と比較して切りくずの状態に明確な違いが見られます。通常切削では切りくずが長く伸びるのに対し、揺動切削では細かく分断されます。
ただし、揺動切削を使用する際には以下の点に注意が必要です:
プログラマブル送り制御を実装するには、NCプログラムに特定の指令を組み込む必要があります。基本的な実装方法は以下の通りです:
1. 基本的なGコードとMコードの理解
まず、NC旋盤のプログラミングで使用される基本的なコードを理解しましょう:
2. 送り速度の変動制御
切りくず分断のためには、送り速度を周期的に変化させるプログラムを作成します:
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G01 X50.0 Z-20.0 F0.1 (一定の送り速度で切削)
G01 X47.0 F0.05 (送り速度を下げて切削)
G01 X45.0 F0.15 (送り速度を上げて切削)
3. オシレーション機能の活用
最新の工作機械では、専用のオシレーション機能(揺動切削機能)が搭載されているものもあります。この場合、専用のコマンドを使用して設定します:
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M○○ P1 (オシレーション機能をON)
G01 X50.0 Z-20.0 F0.1 (切削加工)
M○○ P0 (オシレーション機能をOFF)
※M○○は機械メーカーによって異なります
4. 切削条件の最適化
プログラマブル送り制御を効果的に行うには、以下の切削条件を最適化することが重要です:
これらのパラメータは材質や工具、加工形状によって大きく異なるため、テスト加工を行いながら最適値を見つけることが重要です。
振動切削機能は、切りくず処理の自動化を実現する先進的な技術です。この技術は主軸回転と工具の送り軸方向への振動を同期させ、非切削時間を設けることで切りくずを細かく分断します。
振動切削の主な特徴は以下の通りです:
最新の工作機械メーカーでは、対話形式で簡単に振動切削のプログラムを作成できるシステムを提供しています。例えばDMG森精機の「チップブレーキング」機能では、プログラム作成時間を80%短縮できるとされています。
振動切削機能を導入することで得られるメリットは以下の通りです:
最新の切削加工技術では、切りくず厚さや切削負荷を一定に保つために送り速度を自動調整するシステムが開発されています。これらのシステムは、切削条件の変化に応じてリアルタイムで送り速度を最適化し、安定した加工を実現します。
送り速度自動調整システムの主な機能は以下の通りです:
従来のCAMシステムでは、複雑な部品形状によって変化する切削条件を十分に考慮できないことがありました。しかし、最新の最適化ソフトウェアでは、NCコード上の切削負荷を予測し、送り速度を変化させることで加工状況に合わせた最適化が可能になっています。
切削負荷を予測する手法としては、以下の2つが主流です:
これらのシステムを導入することで、工具寿命の延長、加工時間の短縮、加工品質の向上など、多くのメリットが得られます。特に複雑な形状の加工や、高価な工具を使用する場合には、投資に見合った効果が期待できます。
切削パス最適化ソフトウェアによる加工の安定化についての詳細情報
穴加工は切りくず排出の難しさから、特に注意が必要な加工方法です。穴の中に切りくずが溜まると、ドリルの折損や加工精度の低下を引き起こす恐れがあります。プログラマブル送り制御技術を活用することで、これらの問題を効果的に解決できます。
穴加工における切りくず問題の特徴
穴加工では、以下の理由から切りくず処理が特に重要になります:
プログラマブル送り制御による解決策
穴加工での切りくず対策として、以下のプログラマブル送り制御技術が効果的です:
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G01 Z-5.0 F0.1 (5mmまで穴あけ)
G00 Z1.0 (ドリルを引き上げ)
G01 Z-10.0 F0.1 (10mmまで穴あけ)
G00 Z1.0 (ドリルを引き上げ)
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G01 Z-10.0 F0.1 (10mmまで穴あけ)
G04 P500 (0.5秒の待機時間)
G00 Z1.0 (ドリルを引き上げ)
特許技術では、穴の深さ方向に向かって「くいつき部」「深部」「貫通部」の各加工領域を規定し、それぞれに最適な切削送り速度、回転速度、戻り位置、待機時間を設定することで、効率的かつ安定した穴加工を実現しています。
これらの技術を組み合わせることで、穴加工における切りくずトラブルを大幅に減少させ、工具寿命の延長と加工精度の向上を実現できます。特に深穴加工や小径穴加工など、切りくず排出が困難な条件下での加工において、その効果は顕著です。
切りくず処理は加工効率だけでなく、環境負荷の観点からも重要な課題です。最新のプログラマブル送り制御技術は、切りくず処理の効率化を通じて環境負荷の低減にも貢献しています。
切りくず処理の環境負荷
切削加工における環境負荷の主な要因は以下の通りです: